伝統文化と視野率について

 

 

 

芸術的美徳が薄れてしまったこの国 ニッポン

 

今回彫って頂いたタトゥーはモチーフが日本古来の神楽の面というだけで、技法やデザインとしては西洋から伝わったリアリスティックなブラック&グレーになりますが、

タトゥー文化は世界中で様々な理由や目的で始まり進化や変化を続けています。日本における【和彫り】は江戸時代に火消しの人達が焼け跡から自分の死体がで出てきても誰か識別できる様に水滸伝に登場する生き物達、即ち屏風絵を身体に彫り出したのが始まりでした。

罪人の額に入れるいわゆる【入れ墨】では無く、宗教的な理由でも無く、自己表現のひとつとして芸術目的で【刺青】を入れ出したのは日本が初めてと言われています。

 

100年以上昔のイギリス王室の方々はこの和彫りに強く感銘を受けて、初代彫千代という方にこぞって入れてもらってたという歴史もあります。

 

小泉純一郎元総理大臣の祖父であり、横須賀市長や内閣大臣を務めた小泉又次郎氏も政治家でありながら全身に刺青をまとい国を動かしていた。

 

いつからこの国はあまり芸術に理解が無くなったのだろう、身体に絵があるだけでテレビには出れず、どんなに身体能力があろうとも国の代表になる事は出来ない先進国の中で唯一の芸術後進国。

 

世界ではタトゥー=ファッション(自己表現)、壁に描かれたグラフィティーは壁画。

日本ではタトゥー=威嚇、グラフィティー=落書き。

 

 

未だに特に地方では、不便な事無いんですか?とか、後悔しないんですか?って聴かれたりしますが、入れたいと思いながら度胸無くて死んで行く方が僕からしたら後悔で、努力を重ね不便になる様な人生を歩まなければ良いだけ。

そんな浅い考えで入れないし、どんな人生になろうともタトゥーのせいにはしない。

自分の親も親戚も、パートナーの両親も祖母も僕にタトゥーが入ってる事は知っています。

僕は家庭が崩壊した後、16歳で社会に出て一銭の援助も無く自分のチカラで生き、現在の自分があるので、何を言われた所で「だから何ですか?」で返すと思います。

親からもらった大事な身体にとか思う人は、タバコもコンビニ飯もお酒もお菓子も一切お控えください。親からもらった大事な寿命縮めてますので。タトゥーでは命短くならないですが。

 

そもそも芸術において先進国とは思えないほど時代遅れなこの島国。

欧米人の4割以上がタトゥーを入れてる実情があるにも関わらず、未だに開国しない。

理解出来ない物に対しては「ここは日本だから」と言いつつ、洋画や海外のスポーツを楽しそうに観る民族、そして白人さんに異常な憧れを持ち僕に彼ら彼女らの髪型を持ってくる矛盾。

 

この間カナダ人のお客様が「俺の文化圏だと美容師なのにタトゥー入ってない方が胡散臭いね、だって美容師はクリエティブな仕事でファッションに関わってるんだからアートに興味が行くのは必然だろ?だから入ってる美容師の方が信頼できる」と言っていました。そしてそう言っていた彼はタトゥーは入っておらず国に帰れば警察官。

 

この国の警察官及びその他の人間にその考え方、すなわち【対極の考え方】ができる人間がどれくらい居るのでしょうか。

自分はそうでないけど自分以外の生き方をしてる人間を理解認知した上で自分の生き方を決める人々と、統一民族の狭い視野で物事を判断しそれを押し付けてくる村人との差に大きな差を感じずにはいられません。

彫師さんといつも話すのは、もう少し先進国らしくワールドスタンダードな視野と価値観を日本人にも持って欲しいという様な事ばかり。

 

世界を見て、改めて自分がこの国に生まれ、日本人として生きているという誇りがあるからこそ強くそう思います、特に芸術、ファッション、音楽などと言った自己表現の文化に対しては。

 

 

 

早くこの国が異能な人間に対して後ろ指を刺す人が減り、着目する人が増える日が来る事を願うばかりです。